日本嚥下医学会の歴史をさかのぼると、1981年(昭和56年)に平野実先生、吉田義一先生(久留米大学耳鼻咽喉科)、小宮山荘太郎先生(九州大学耳鼻咽喉科)、進武幹教授(佐賀医大耳鼻咽喉科)、丘村煕先生(愛媛大学耳鼻咽喉科)、井上鉄三先生(防衛医大耳鼻咽喉科)、棚橋汀路先生(名古屋大学耳鼻咽喉科)などの嚥下のメカニズムと嚥下障害に取り組んでいた耳鼻咽喉科医が発起人となり嚥下研究会が発足しました。
1985年までの第5回嚥下研究会までは、当時の協賛社の比叡山にある研修所に年に一度集い、泊り込みで夜通し議論に花を咲かせたと今日まで語られているほどです。黎明期であるこの5年間は開催地にちなんで比叡山カンファランスとも呼ばれていました。その間、嚥下の中枢機構の研究者として第一人者であられた角忠明先生(名古屋保健衛生大学生理学)を何度も招待して特別講演がなされております。
その後も、年に一度研究会が開催され続けてきましたが、徐々にオープンな会となり会員数の増加に伴い、第19回(1998年)から日本気管食道科学会のサテライトシンポジウムとなり、第20回(1999年)から日本嚥下研究会と名称を改めました。サテライト化後、会員の多くから独自の会を開催すべきとの声が上がり、平成16年(2004年)には日本気管食道科学会から独立し、会則を改め名称も日本嚥下医学会と改称することになりました。
独立した医学会となった今日では、耳鼻咽喉科医、消化器外科医、内科医、リハビリテーション医、神経内科医のみならず、多くのST、OT、PTなどのコメディカルも会員に迎え、学際的な雰囲気を漂わせています。